メンタルコーチの宇佐美円香です。
再婚した夫の連れ子が不登校。【お悩み相談】
『ココロノマルシェ』に届いたお悩みにお答えします。
ご相談内容
相談内容はこちらです。
はじめまして。子育てについての質問ですが、私の子ではありません。再婚した主人の連れ子ちゃんで、私は実際は母でもなんでもありません。
ですが、家族として悩んでいるので相談させてください。
連れ子ちゃんは16歳の女の子です。3歳の時に生みの母は置いて出ていったそうです。
今、高校1年生です。家では至って元気ですが学校に行くとなるとプレッシャーに負けるそうで行けなくなります。学校が嫌なら、フリースクールなど然るべきところへ方向転換すればいいと思いますが、本人はそんなことは受け入れられず進級したいようです。
そしてこの方は中身が小学生のような子です。課題やテスト勉強などを計画して進めることや、出かける際の支度など、逆算して自分の時間で考える力がほぼありません。
課題が終わっていなくてもゲームをして過ごしたり、遊びに行こうとしたりします。でも学校に行くとなると、課題が終わっていないと登校しなくなります。言っていることとやっているとが一致しません。これは小さい頃からこのようです。
不登校問題はきっと多くあるかと思いますが、もし良ければ本人もしくは保護者の立場として何か考え方などアドバイスいただきたいです。よろしくお願いいたします。
ご相談ありがとうございます。
私自身は子供はいませんが、大学4年間は不登校児が集まるフリースクールでボランティアスタッフを務め、卒業後は高校教員として10年間働いてきました。
特に高1の担任を任されることが多く、中学丸ごと不登校で高校に進学してきた子達の扱いが得意だったので、不登校の話題は積極的に回答させていだたくことにしています!
回答
相談内容から伺ってみたいこと
相談内容からだと以下の内容が読み取れなかったので、伺いたいところですが…
- お子さんが何歳の時から同居されているのでしょうか?
- 旦那様はいつご結婚されて、どんな経緯で離婚、再婚になったのでしょうか?
- 子連れの旦那様と再婚されることになるまでの経緯はどんな感じでしょうか?
- 質問者様の生育歴、パートナーシップ歴は?
このくらい聞かないと的確なアドバイスが差し上げられないと思います。が、私なりの考えと、アドバイスを書いていきたいと思います。
不登校は問題ではない
※これは私個人の意見です。
先日Twitterでも不登校問題に関して以下のツイートをしたのですが(ツイートが長いので全部表示できませんが)
子供の不登校問題を職業柄よく相談される。私は不登校児の扱いが得意でクラスに欠席日数がとんでもなく多い子を集めていた時もあった。が、マニュアルはない。
— 宇佐美円香(ウサ)|メンタルコーチ・講師 (@madoyaca) April 6, 2023
いろんな理由と環境があるから…。
個人的には、別に学校には行っても行かなくても大丈夫。不登校を失敗や挫折にするのは必ず大人。…
不登校自体は別に問題ではないと個人的には思います。
不登校を問題化するのは必ず大人なんですよね。
あえてこのような言い方をさせてもらっているのですが、
- なぜ他の子と同じように学校に行けないのか
- 勉強ができなくなるのでは
- 将来どうなってしまうのか
- なぜうちの子だけ?
と思ってしまうしんどさはありますよね。
日本の教育システム的なところだけを踏まえたことを言うと、別に不登校だからといって、社会に出られないということは全くありません。
義務教育期間に不登校でも、高校に行けないことはないですし、高校で不登校でも高等教育機関に行けないことはないです。そしていずれにせよ働けないこともないです。
いわゆる日本の「エリートコース」からは外れるのかもしれませんが、もしくは日本の「いわゆる普通の生き方」からは外れるのかもしれませんが、ちょっと家にいられる時間が長くなるだけで(それはそれで大変ですけどね)長い目でみた時にそんなに問題ではないのです。
大体人間は、人生のどこかで立ち直りますし、また挫けて、立ち直ってを繰り返していくんですよ。
その上で、私の個人的な見解を書いていきます。
本人も「普通に学校に通える人」ではありたい
>今、高校1年生です。家では至って元気ですが学校に行くとなるとプレッシャーに負けるそうで行けなくなります。学校が嫌なら、フリースクールなど然るべきところへ方向転換すればいいと思いますが、本人はそんなことは受け入れられず進級したいようです。
誰でもそうだと思いますが、誰しもスタンダード(普通)でありたいのです。
だから、方向転換したくない・進級したいと言うのは本心だと思います。
私自身、過去教員として何十人もの不登校経験生徒に接してきて、実際に自分のクラスで不登校になりかけた生徒とも話して、皆同じことを言うんです。
「学校には普通にいきたいし、進級もしたい。転校したくはない」って。
大人が仕事が嫌になった時は、その職場とやめてさっさと他の職場へ転職するのも選択肢の1つになるのに対して、子供が学校が嫌になった時は「行かない」しか選択肢が与えられない(もちろん、単位制高校への転学やフリースクールなどの選択肢はあるが、スタンダードではない)ので、苦しいですよね。
子供本人にも「学校を休んでしまっている」という負い目があるので、いざ学校に行った時に他の子や先生に対しての申し訳なさも少なからずあるのです。
これに関しては、担任として不登校経験者や不登校になりかけた生徒をぐっと引き上げて(登校させて)なじませ、進級や卒業させた時に「実は元気なのに学校に行けなくてみんなに申し訳ないと思っていた」ということをよく言われるので、大体皆そうなのではと思います。
その申し訳なさに、勉強していない、課題もできていない、などの要素がプラスされるので、本人にとっては学校という場所がプレッシャーでしかなくなるのは自然なことです。
フリースクールや別の学校への転学は、小学生や私立中学生であれば少しハードルは低いですが、公立中学生や高校生となるとハードルが上がると思います。思春期で多感な時期であり、周りからの目や、自分がレールから外れることへの怖れが大きくなるからです。
色眼鏡を外す意識が大事
>そしてこの方は中身が小学生のような子です。課題やテスト勉強などを計画して進めることや、出かける際の支度など、逆算して自分の時間で考える力がほぼありません。
>課題が終わっていなくてもゲームをして過ごしたり、遊びに行こうとしたりします。でも学校に行くとなると、課題が終わっていないと登校しなくなります。言っていることとやっているとが一致しません。これは小さい頃からこのようです。
不登校の子ではなくても、逆算してきちんと行動できる子の方が少ないです。
基本的に人間は感情>思考で、感情に基づいて行動するので、課題が終わっていないのにゲームや遊びになびいてしまうのはよくあること。
特に中高生は言動と行動は一致しないことも多いです。
相談者さんに問いたいのが、
「では逆に、お子さんのいいところ、強み、才能、価値はなんですか?」
距離が近いといいところを見る眼鏡ではなく、悪いところを探す色眼鏡をかけてしまうので、ついついダメなところばかりをみて他人と比較してしまいがちです。
もしかしたらダメなところは相談文に書かれているようなところかもしれませんが、いいところってどんなところがありますか?
なぜこんなことを問うのかというと、私たち人間は自分の強み、才能、価値をいかに認識しているかどうかで、自分の自信や自己肯定感の高さに差が出てきます。大人であってもなかなか自分の良さって認識するのが難しいのですが、子供は大人以上に自分の良さを認識するのが難しいのです。
では子供はどこで自分の良さを認識するのか?いつ強みや才能、価値を認識するのか?
というと、「誰かに褒められた時」「誰かに認められた時」「誰かに愛を注がれた時」なんですよね〜。
中高生の場合は、大概
- 家族、親戚
- 友達、先輩後輩
- 学校の先生(特に担任、部活の顧問やコーチ)
- 習い事の先生
がその相手になるわけですから、相談者さんのお子さんの場合は家族がカギになってきますよね。
私はこれを踏まえて、よく不登校経験者や不登校になりかけた子たちには、好きな習い事をするように保護者にも本人にも勧めていました。基本的にプラスにしかなりませんでした。
血が繋がっている旦那さんはもちろん、相談者さんも、たくさんお子さんのいいところを教えてあげてください。そうでないと、本人は自分の何を活かして今後の人生を歩んでいけばいいか分からないので…。
その上で、相談文にお書きいただいているようなところを教育していくのが大切です。要は先に心の土台作りをしてあげないといけないということですね。
>でも学校に行くとなると、課題が終わっていないと登校しなくなります。言っていることとやっているとが一致しません。これは小さい頃からこのようです。
課題が終わっていないことが悪いことだと思っているから登校しない
ので、お子さんなりの負い目であり、正義感なんだと思いますけどね〜。親からしてみたら、フザケンナと思いますよね。教員からしてみても、そんなことで学校休むなよとも思いますが。笑
そういう風に思っているところもあるんだろうな〜と許してあげてください。
相手の可能性を信じること
こちらの記事でも目に見えないモノを信じることについて書かせていただいたのですが、
ひとくちに「相手の可能性を信じましょう」という綺麗事を言われても、難しいことですよね。
>不登校問題はきっと多くあるかと思いますが、もし良ければ本人もしくは保護者の立場として何か考え方などアドバイスいただきたいです。よろしくお願いいたします。
とのことなので、アドバイスをするとしたら、
相手の可能性を信じて、まぁ不登校でも大丈夫だな。と思ってあげること。
親子で解決するのではなく、必ず学校教員との連携をとること。
できれば外部の組織に所属させてあげること。
ですね。
今目の前のことだけを見ると、どうしても怒りや不安、不満、怖れなどがあると思うんです。
それは仕方ない。というか当たり前ですが、
相手の可能性を信じる覚悟
を持ってあげてください。そしてそれを本人にも周りにも伝えていきましょう。
よく「言霊」なんて言ったりしますが、自分自身も、目の前の相手も
自分が思った(心の中で言語化した、誰かに言った)通りに変化する
ので、きっといつかは社会に出られる、とか、きっといつかは学校に通う、とか、そういう可能性を信じていきましょう。
最初は心から思えなくてもいいのです。最初は「可能性を信じようとする努力」をすることが1番大事だと思っています。
あなたは当然できるよね、今はそうじゃないだけ。
というスタンスで接していくのがミソです。
かなり声かけや、こちらの捉え方も変わります。
簡単なことではありませんが、必ず効果が出てくるので、まずは3ヶ月!意識してみてください。
他人の子なのか、自分の子なのか
>はじめまして。子育てについての質問ですが、私の子ではありません。再婚した主人の連れ子ちゃんで、私は実際は母でもなんでもありません。ですが、家族として悩んでいるので相談させてください。
ツッコミにくいところですが、相談者さんは血が繋がっていないとはいえ、現状はお子さんの母のポジションにいらっしゃるのではありませんか?(世間一般から見た時に)
家庭においてさまざまな事情があると思うので、自分がどんなポジションでいるかどうかは家庭で決めることではあると思うのですが、
- 旦那さんは相談者さんに「母」になってほしいと思っていますか?
- お子さんは相談者さんに「母」になってほしいと思っていますか?
- 相談者さんはどんな条件が揃えば「母」になりたいですか?
というのは気になるところです。
生みの親は3歳の時に置いて出て行ったとのことですから、もしかしたらこの不登校問題は、相談者さんが「母になる覚悟」をする機会なのかもしれません。
相談文からも、母になる覚悟がない、母になる自信がないのだろうな…というのが読み取れます。(失礼なことを言ってごめんなさい)
きっとその覚悟が決まるだけでも、大いに変化があると思います。覚悟を決めて向き合っていくことで、さらなる変化があるでしょう。
お子さんは自分の子なのだと胸を張って言えるようになるためには、どんなことが必要なのでしょうか?
相談者さんにとっても、お子さんにとっても、旦那さんにとっても、大きな変化が訪れるかもしれませんね。
教員ですら、生徒に対して大きな影響を与えられますから、保護者はもっと大きな影響を与えることになりますよ!
この回答が少しでもお力になれたら幸いです。
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