SNSでこの話を書いたら反響があったので記事にすることにしました。
【ポジティブが正義ではない】
— 宇佐美円香(ウサ)|メンタルコーチ・トレーナー (@madoyaca) February 16, 2024
特にスポーツのメンタルトレーニングをしていると「とにかくポジティブ」が正義のような雰囲気(?)があるのですが、個人的にはちょっと違うなぁ〜と思っています。… pic.twitter.com/ZQCWoR1Bts
ありがたいことに2023年度は、北は北海道、南は九州まで、100回以上のメンタルトレーニング講習会をさせていただきました。小学生から大学生まで、初心者から日本一まで。1年でたくさんの選手や指導者、保護者と関わらせていただきました。
スポーツやビジネスではポジティブが正義?
普段スポーツのメンタルトレーニングをしている私ですが、スポーツのメンタルトレーニングやビジネスの成功哲学では「とにかくポジティブ」が正義のような風潮があります。成功哲学やメンタルトレーニング系のいわゆるパワー系というか、プラスの部分を伸ばすメソッドは「Be positive!(ポジティブになれ!)」ばかりなんですよね。
大人は、まだいいと思うのです。経験を積んで、ネガティブ感情を捨てる技術を身につけられますし、ある程度の弱さも自覚していると思いますし、成功体験も積めると思います。
今時の子供達の現状
私が普段相手にしている小中高生たち。そしていわゆる今時の子供達は果たしてどうでしょう?
正直、平成3年生まれの私より上の世代(ちょうど子供の親世代、指導者世代)は「昭和の教育」を受けてきていて、学校教育の中で、厳しいことや理不尽なことを乗り越える経験をたくさんしてきています。それがいいか悪いかはさておき、ある程度「嫌な気持ちや感情を捨て去る」「誰かと結託して乗り越える」ことを無理矢理教育されてきています。
実はこれ、会社の中での若手とのギャップにも表れていると思います。
・自分優先
・察して動くことができない
・言われたことはやるが、不要なことはしない
など、よく耳にします。
今時の子供達に話を戻すと、今は学校の先生や指導者は、よっぽど特殊な環境下ではない限り「厳しいことや理不尽なことを乗り越える経験」をさせてあげられるような指導はできません。
ちょうどイチロー選手が高校生に対してそんな話をしている動画もありました。(3:15〜)
そんな背景もあり、今時の子供達は、「大人たちが思っているよりも精神的に未熟」なのです。
これは子供達が悪いのではなく、やはり時代の流れがそうさせていて、機会損失が大きいのかなと思います。
私は人財教育家でメンタルコーチの飯山晄朗さんのアシスタントを2年ほどしていたのですが、飯山さんの本の中でもこの本は高校野球が例なので、わかりやすくておすすめです。
人は弱さを嫌う
そもそも人は自分の弱さを嫌います。
特に、失敗が許されないスポーツ選手や経営者は、弱さというものを悪者扱いしがちです。
子供の場合、学校教育や部活動の中で弱さや甘えを出すと、対外指摘されることになるため、弱いことは悪いことだと認識してしまいます。
人間って誰しも弱いんですよね。
私だって弱いですし、世の中でメンタルが強いと思われている人だって落ち込むこともあると思います。弱さの度合いも人それぞれ。基本的には人間みな弱いということを子供達にも知らせる必要があると思うのです。
その上で、
・練習において、本番において、弱さを出さないようにするにはどうしたらいいか?
・日々のモチベーションが下がらないように自分をコントロールしていくにはどうしたらいいか?
を追求して極めていくのがメンタルトレーニングだと私は思います。
これ、スポーツだけでなく、ビジネスや自分の人生全体にも通じています。
弱さをなくすのがメンタルトレーニングじゃないと思います。
人間は弱いんだけど、その弱さを上手く扱ってパフォーマンスを発揮するにはどうするのがいいのか?だと思うんです。
長所で人に尊敬され、短所で人と繋がる
人と人の心のつながりは、弱さでつながって、助けたり助けられたり、頼ったり頼られたり、甘えたり甘えられたりで深まっていきます。それがご縁とも言えますよね。
ご縁を大切にすることは、相手に対してゴマをすることではありません。
いい意味で対等な、本音の付き合いを。強さも弱さも自己開示できる付き合いをすることだと思います。※これは私の個人的な意見です。
実はこの話は私自身が大切にしていることであり、私が講習会をする上で必ず話すことでもあり、子供達に絶対に知ってもらいたいことでもあります。
いくらメンタルトレーニングでスキルを身につけて、本番でパフォーマンスを発揮できたり、日頃のモチベーションをある程度維持できるようになっても、心がボキッと折れてしまった時に復活できなくなったら意味がありません。
人が挫折から這い上がる時に1番必要なのが「つながり」です。孤独感はネガティブな感情の中でも、とてもしんどいネガティブな感情で、抜け出すのに他者の力が必要です。
保護者はもちろん、指導者や学校の先生には絶対に押さえてもらいたいポイント。
難しいのが、だからと言って甘やかせばいいということでもないですし、厳しい指導が不要であるということでもありません。適切な環境を作ることが大事です。
そして子供達は、このことを知った上で、弱さをさらけ出す勇気やスキルを身につけながら、どう自分を成長させていくか?どうチームや組織の仲間と結託して目的を達成するか?を考えていくことが必要になります。
こんな話を、メンタルトレーニングの導入講習会でしています。
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